トランプ政権期における アメリカ排出権市場への影響
- 楠本夏花 0411
- 4月2日
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アメリカでは現在、カリフォルニア州排出権市場、米国東部排出権市場、ワシントン州排出権市場の3つの市場が運営されています。下図では、これらの米国排出権3市場と米国大型株、WTI原油先物価格、米国排出権先物価格の推移を、大統領選挙の投票日(2024年11月5日)から直近までの期間で比較しています。
アメリカの株式市場はトランプ政権による関税政策に伴う景気悪化懸念を反映して日々大きく変動していますが、排出権市場への直接的な影響は現在のところ軽微です。
大統領選挙投票日から直近までの市場パフォーマンス

*排出権価格は、25年12月ビンテージを使用しています。
トランプ大統領は地球温暖化対策や排出権市場に否定的な立場であるため、一般的には排出権市場の価格にも大きな影響を与えるだろうと考えられています。しかし、アメリカ各州の排出権市場は州法に基づいて承認・運営されているため、大統領が州法で規定された排出権市場に直接影響を与えることはできません。このため、米国の排出権市場の価格は、トランプ大統領による大胆な大統領令に対しても耐性(レジリエンス)があり、堅調なパフォーマンスを維持しています。
ただし、カリフォルニア州の排出権価格のみは大きく下落しています。この下落はトランプ政権の直接的影響ではなく、カリフォルニア州が計画している排出権削減強化策の公表が、2024年11月以降何度も延期されていることが原因です。現在カリフォルニア州政府は、2026年から排出権の発行量を大幅に削減する計画を検討中ですが、排出権の削減によって生じるガソリン代や電気料金の値上がりによる州民への負担を軽減する対策を組み込むため、公表が遅れています。予測では、この計画は8月までには公表され、排出権価格も2024年11月5日時点の価格を大きく上回ると見込まれています。
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